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しかし、不満もある。まず、各々の用語説明の最後にある【参考文献】であるが、テキスト・専門書が中心となっている。なぜ、「論文」をもっと掲載しないのか？　開発経済学・経済成長論の分野における重要な理論・概念については、初出の論文および執筆者などを「参考文献」のところで明示してもらいたい。
例えば「雁行形態論」のケースでは、本文でこの理論が赤松要によって提起されたことには触れられているものの、「参考文献」欄ではその論文・著書すら示されていない。これではお世辞にも「研究者向け」とは言えまい。この点について目配りをしているケースは少ない。

また、マクロ・ミクロの経済理論についても「公務員試験対策向け参考書」を読んでいるのではないかと錯覚するような内容である。こんな内容なら、テキストや他の経済用語辞典を参照すれば用が足りる。すべてそうせよと言うわけではないが、「開発経済学」の事典なのだから、せめてIS−LM理論などが国際機関・援助国の開発政策とどのような関連があるのか（あったのか）？といったことには触れてもらいたい。そのような配慮がまったく欠けているので、国際協力用語辞典に経済学辞典を単に「接木」しただけのような不自然さを感じる。