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[ 新書 ]
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エコノミストは信用できるか (文春新書)
・東谷 暁
【文藝春秋】
発売日: 2003-11-20
参考価格: 830 円(税込)
販売価格: 830 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
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・東谷 暁
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カスタマー平均評価: 3.5
勇気ある批判本 早くからこのような本が出ないかと思っていました。景気の各場面で、私自身の予想や考えと違うことが多く、本当にエコノミストの言う通りなのか疑問に思ったことも何度となくありました。
毎年、日本経済新聞の新年号に株価や景気の見通しについて各界の識者や経営者の予測を掲載していますが、一度として当たったことがなく、こんないい加減な見通しでよく会社の経営や経済評論という職業が成り立っているなと感じていました。
今まで、長期間にわたり評論家の言説が当たっているか、またそのブレを丹念に調べたものはなかっただけに、この本はそうした疑問に答えてくれる、勇気ある批判本です。
しかし、IT革命を批判的に見ている点は、その後のITの全産業への影響を考えると、判断を誤っていると考えられます。
前後の一貫性や議論の整合性、説得力、市場供給力、市場需要力という5つの指標でランク付けしていますが、「エコノミストは信用できるか」という表題であるならば、市場需要力という指標でエコノミストの信用を評価すべきかどうか疑問にも感じました。
筆者には4?5年ごとに改訂版を出していただくことを望みます。そうして筆者の自己評価も含めれば、より公正なものになっていくでしょう。
公平な分析に好感 1.内容
少々古い話になるが、経済新聞などで、経済について処方箋を出しているエコノミストと称する人たちがいるが、調べると(本当によく調べてるな・・・・)言っていることに一貫性や整合性はないし、時の政府の方針に沿ったりと、問題が多い。90年代近辺の日本の政策について、インフレターゲットについて、など、トピックごとにエコノミストの主張を検討し、最後に、エコノミストそれぞれに、一貫性などの5項目(その中には、「市場供給力」という、内容に無関係な項目もあるが)につき採点している。
2.評価
これだけエコノミストの主張がバラバラなのは、一貫性や整合性がないという批判も可能だが、それだけ経済を分析して処方箋を出すのが難しいということではないか?という疑問があるが、それよりも、多くの文献を駆使したこと、ならびに、評価の公平さを重視して、星5つ。なお、著者は、私の見る限り、構造改革も規制緩和もインフレターゲットも支持していないように感じた。 面白いです エコノミストを詳細に論じたのが本書です。更にエコノミスト
だけでなく日本経済新聞についても論じている部分があり、過去構造改革を
もっとも煽った同紙が今もっとも構造改革を批判している部分など。
あっという間に数年前の議論が忘れ去られる日本では貴重な指摘だと思います。
エコノミストの論理や主張の一貫性についても言及がありクルーグマンのように
かつてネオリベラル的経済政策を説いていた人の矛盾などもついています。
ポズナーの「パブリック・インテレクチャルズ」を紹介していますが、
この本を是非翻訳してくれないだろうか・・とも思います。
論点は多岐に渡り、ある程度経済政策などに精通した人には非常に有益な書物です。
何より面白い! おすすめの1冊です。 エコノミストは信用できない(人が多い) エコノミストの過去の言動をチェックし、その首尾一貫性のなさを指摘している。
言っていることがコロコロと変わる人が多いが、そういう人であっても人気を保ち続ける人もいる。時代のニーズに合った発言をできる人はその発言の真偽、一貫性を問わず人気を保っている。
将来の予測というのは大抵外れるものだし、実際に発生した事実以外のものが発生したかどうかを実験室で再現するわけにもいかない。バブル期からデフレ期まで、世論はあるときは「最強の日本」を、あるときは「日本の崩壊」を信じたがり、それを唱えるエコノミストがもてはやされてきた。
そう考えると、エコノミストは占い師と同じで、人々が聞きたいことを唱えていれば良いのであって、皮肉なことだが信用できるかどうかはあまり意味を持たないのではないかという気がする。
株や投信で儲けるのにまったく役に立ちません。 株で儲けるのにどのエコノミストの意見を参考にすればいいかなんてことをこの本に期待すると全くの期待はずれ。この本は難しいのです。言葉が概念的、抽象的で経済の素養がある程度ないとチンプンカンプンです。内外価格差は円安でこそ縮まるなんてことがすーっと理解できないので、巻末にでも経済の仕組・用語・見方などの解説が付いていれば少しは分かりやすくなったと思うのですが。また、エコノミストのいうことが個人、時系列によりバラバラですからなお分かりづらいのです。巻末に40人のエコノミストに対する蜘蛛の巣グラフのレヴューが付いていますがこれだって簡単ではありません。政府税調の委員長になった香西泰さん、日銀総裁候補の噂さえある竹中平蔵さん、「300万円で暮らす・・」の森永卓郎さん、ミスター円の榊原英資さんらは低い評価でした。
最後に著者の東谷暁さんは編集関係の仕事が長かったようですが、どうやってこんなに経済が分かるようになったのか聞いてみたい。
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[ 単行本(ソフトカバー) ]
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The Economistの記事で学ぶ「国際経済」と「英語」
・吉本 佳生 ・渡辺 智恵
【日本評論社】
発売日: 1998-09
参考価格: 2,100 円(税込)
販売価格: 2,100 円(税込)
Amazonポイント: 21 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 998円〜
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・吉本 佳生 ・渡辺 智恵
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カスタマー平均評価: 5
経済の解説が懇切丁寧 英語と経済の両方をこの一冊で学習できる優れた本です。 私は経済には疎い英文科卒ですが、経済に関する丁寧な解説に助けられて 最後まで読むことができました。 日本語の解説だけを読んでも、大変役に立ちますし、もちろんこの本を しっかり読みこなせば、経済関連の英文記事を読むのが楽になると思います。大学教授にありがちな「これくらい知ってて当たり前」のような高慢な部分が 全く無い、とにかく親切な本です。
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[ 単行本 ]
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エコノミスト 南の貧困と闘う
・ウィリアム イースタリー
【東洋経済新報社】
発売日: 2003-07
参考価格: 2,940 円(税込)
販売価格: 2,940 円(税込)
Amazonポイント: 29 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,972円〜
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・ウィリアム イースタリー ・William Easterly
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カスタマー平均評価: 4.5
経済学の理論と途上国の現場の実態両方への理解を兼ね備えた希少な書籍 なぜ途上国の多くが未だに貧困から抜け出せないのか。開発援助に関心を持つ方であれば、必ずこの疑問を抱くと思います。そして開発援助に精通する識者の著書を多数読んでも、残念ながら納得のいく答えはあまり得られません。しかし、本書は今までに私が多数読んだ援助関係の著書の中で、明らかに際立っています。それは恐らく、著者が経済学に精通し、途上国のあらゆる諸問題に対する経済学的アプローチを欠かさないからでしょう。援助関係の著書には、経済学の基礎理論を無視したものが非常に多い。「経済成長か貧困克服か」という不毛極まりない二元論はその典型でしょう。しかし本書は、経済学の理論と途上国の実態双方に対する深い理解を兼ね備えた元世銀のエコノミストが著していることもあり、従来の書籍にはない貴重な内容を含んでいます。
経済学と聞くと数式が頻繁に出てくる難しい内容を想起しがちですが、本書に記された経済学的アプローチは少しも難しい内容ではなく、経済学の基礎知識を全く持ち合わせていない私でも容易に理解できました。構造調整融資、債務放棄、教育の普及等の従来の処方箋がなぜ間違っているのか、種々のデータと経済学の基礎理論を元に、初心者にも十分理解できるほどの丁寧な説明が為されており、ページの長さが少しも苦になりません。投資やコンドームに対する援助のように、素人の私の目にも完全に破綻していると映る処方箋が、未だに援助で幅を利かせていることが良く理解できます。
「多くの貧しい国が豊かになりますように」。これは著者のみならず、援助に携わる全ての人の願いですが、経済学の基本原理をきちんと踏まえなければ、諸問題や援助の経済的意味を把握できず、この願いを叶えることもできない。仕事であれ、ボランティアであれ、開発援助に関わる全ての人にとって、本書は必読書の部類に入ると思います。
経済学者もがんばっている! 開発とは、いかにその人が幸せになるかの第一歩。 訳者の話をかつて聞きましたが、そう力強く語っていました。訳者からこの書籍に辿り着いた一人です。その幸せとは何なのかが難しいのですが・・・。 開発経済学者は、開発の現場で尊敬もされますが、「実体を見ていない」と言われることもあります。でもこの書籍では、援助の現場で、泥臭く失敗し、何かを見い出し、何かもっといいことを!と考えている著者を感じます。援助に携わっている若い方にもぜひ読んでもらいたいです。 開発、っていう言葉ももう古いんでしょうね。 入門書 十八歳の無知な私でも読みきることができました。前半は、ドーマーやソローなど開発経済における過去の理論への批判から始まり、中盤はいままで行われてきた様々な政策がいかに失敗し、なぜそれらが成長への決定要因とならなかったかを明らかにしていきます。そして、貧困国ではなぜ将来へ投資するインセンティブが起こりずらいかなど貧困国に起こっている悪循環について言及していきます。後半では途上国政府がしばしば直面する汚職や、高インフレ、闇市場プレミアム、為替レートの固定、インフラへの不投資などの政策がいかに成長へのマイナスのインセンティブを生み出すかを解説します。初心者を置いていくような解説をしないのでまさに途上国開発を考える人の入門書と言えるのではないでしょうか ただ、他の人のレビューにもあったように、訳が堅い。その分疲れます。 経済をかじった事があるひとや英語に自信のある人は、原著を薦めます。 「The Elusive Quest For Growth」 援助に関心ある人必読。 もと世銀のエコノミストだった著者が、これまでの開発援助のダメさ加減について斬りまくる快著。道路やダムを造ってもだめ。教育援助もダメ。構造改革もダメ。債務放棄もだめ。援助機関がやるものもダメだけれど、独善的なNGOどもだってろくな成果はあげてない。それはこれまでの援助が、きちんと成長へ向けてのインセンティブを作るように設計されていなかったからだ、と著者は主張し、改善すべき留意点をたくさん指摘してくれる。 主張はうなずけるし、現場の感覚ともあう。ただ……著者が主張する改善点なんて、よく見ればどこの国にもある問題だ。本当にこれって決定的な成長阻害要因なのか? さらにインセンティブがないと著者はいうけど、成長して豊かになることこそ最大のインセンティブじゃなかったのか。それが効かないとき、内政干渉まがいの制度改革を援助をエサに無理強いして本当に役立つんだろうか? 訳が生硬な学者訳なのは残念。原文の楽しいユーモアは全滅。さらにあとがきには、有益な追加情報が何一つない。それでも援助に関心のある人間は必読の名著。
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[ 単行本 ]
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エコノミストの仕事術―著名12人が独自の見方・考え方を伝授!
・小関 珠音
【生活情報センター】
発売日: 2004-07
参考価格: 1,470 円(税込)
販売価格: 1,470 円(税込)
Amazonポイント: 14 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 113円〜
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・小関 珠音
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カスタマー平均評価: 5
熟達のエコノミストの視点は見習う点多し 間違いなく良書である。取り上げられているのは、
いずれもマスコミ等でよく知られた分析者たちである。
エコノミストたちがどのような知的営みを経て、
われわれの目にするアウトプットを生み出しているのか、
その過程が非常に巧みに描かれていた。
印象に残ったのは、原田さんの項だ。同氏は、論文執筆時、
次のような視点で考えているという。
世の中でどんなことに関心が向いているか、
それに対してどのような意見があるのか、意見が割れている場合に、
経済学のツールを用いて勝敗をつけようとするとどちらが勝つか。
これは、まさに経済学を修めた人が世の中にその成果を問う際の
最も基本的な姿勢だ。エコノミストというと、
経済学というツールは使えるが、世の中のことがあまり分かっていない人、
という印象があったが、原田さんをはじめ、登場するほとんどの人が、
世の中に対する強い関心を常に維持しながら
仕事をしていることが分かったのが収穫だった。
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[ 単行本(ソフトカバー) ]
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これで読めるエコノミストの英語―読んで楽しいキーワード付き
・早野 勝巳
【金星堂】
発売日: 1997-03
参考価格: 1,943 円(税込)
販売価格: 1,943 円(税込)
Amazonポイント: 19 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 353円〜
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・早野 勝巳
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カスタマー平均評価: 4
改訂版が欲しい。 大学の教養課程あたりで使われそうなテキストです。英文読解と背景知識、両方をいっぺんに学ぶことを狙っているようです。残念ながら10年前に発行されたテキストなので古くささは否めません。新しい記事をベースに改訂版を出して欲しいと思います。
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[ 単行本(ソフトカバー) ]
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The Economistの記事で学ぶ「国際金融」と「英語」
・吉本 佳生 ・渡辺 智恵
【日本評論社】
発売日: 2000-09
参考価格: 2,100 円(税込)
販売価格: 2,100 円(税込)
Amazonポイント: 21 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,600円〜
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・吉本 佳生 ・渡辺 智恵
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カスタマー平均評価: 4
改訂版が欲しい The Economist特有の構文の解説が非常に参考になる。ただ取り上げている記事が今となっては少し古く感じるのも否めない。この本の発売時期を考えるとやむを得ないのだが。新しい記事に入れ替えた改訂版を出して欲しい。 社会科学系大学院受験の英語テキスト 大学院受験(経済学)に使用した。 記述が丁寧であり、勉強の方法も よくわかる。 合格した他の受験生も、この本を 使用していた。 非常勤先の大学でも、大学院受験者には、 この本を推薦している。 英文のCD(カセットテープ)があれば、 もっとよかったのだが。
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[ 単行本 ]
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エコノミストたちの栄光と挫折 ─路地裏の経済学・最終章─
・竹内 宏
【東洋経済新報社】
発売日: 2008-08-22
参考価格: 2,100 円(税込)
販売価格: 2,100 円(税込)
Amazonポイント: 21 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 827円〜
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・竹内 宏
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カスタマー平均評価: 5
日本経済だけでなくエコノミストの今と昔を比べるとおもしろい 日本経済の歴史を振り返る本はあるが、エコノミストの活動を振り返る本はあまりない。思わず「へェー」と思ってしまうこぼれ話もある。日本経済の歩みという観点からは、円高問題や第一次石油ショックの記述がおもしろい。今の経済情勢にも当てはまるところがあり、勉強になる。バブル崩壊を予想していた銀行エコノミストがいたことも興味深い。自伝風なので話が散漫という印象を受けるかもしれないが、歴史的観点からの分析に興味がある人には、おもしろい1冊。それにしても、コンマ以下の経済効果の計算をしている今のエコノミストは昔に比べてスケールがなんと小さいことか。竹内氏もマスコミで活躍したエコノミストだが、マスコミとマーケットに魂を売り渡したような今のエコノミストをどう思っているのだろうか。
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[ 単行本 ]
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エコノミスト・ミシュラン
・田中 秀臣 ・野口 旭 ・若田部 昌澄
【太田出版】
発売日: 2003-10
参考価格: 1,554 円(税込)
販売価格: 品切れ中
中古価格: 89円〜
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・田中 秀臣 ・野口 旭 ・若田部 昌澄
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カスタマー平均評価: 3
エコノミストってどうしようもない 経済政策において百家争鳴の時代に雄叫びを上げたリフレ派たちの出撃本。
悪く言えばリフレ教条主義の本。
インフレターゲットやれだの量的緩和しろだのひたすら経済の専門知、
しかも効果なしと予想が簡単についていたような政策を臆面も無く叫んだリフレ派。
まさに専門馬鹿集団である。知識は深いが間違っているというグロテスクぶり。
ちなみにアメリカ経済学のコンプ丸出しで、○○論文○○論文と説得力なしの
ペーパーをひたすら推奨する不気味な集団。岩田規久男を筆頭にひたすら互いを
激賞し、本を受賞させる。彼らの本を読めば分かるが本当に説得力がない。
この程度で説得されてた人はそもそも学問に向いてないだろう。ただ相手に経済を
語りたいというKYでコミュ能のない人間たちなのだろう。
そろそろこの集団は自分たちで何が間違ってたか虚心坦懐に自己分析すべきだ。
そして新・エコノミストミシュランとして出版して欲しい。
(特に田中秀臣はブログでナイトによるフリードマン破門を検証するという内容で
「内橋克人がいうモラルなど論じる程度のものでない」という主旨を表明するなど
はっきりいって学問に向いてない典型的人物だと思う。本当に程度が低い。) 偏向しているが、貴重な試み 今さらながらの批評になるが、本書はとても刺激的で、リーダブルな仕上がりになっている。しかし看板に偽りありで、ミシュランをうたいながら、星をつけて採点しない。ここにはある種の「逃げ」がある。また価値中立性の欠落は、やはりミシュランという書名に対する矛盾になっている。
政権に重用されなかった、リフレ派のプロパガンダ本になっているため、公平性という観点からかなり怪しい仕様になっている。よって本書は、基本的にインフレターゲット政策の称揚と構造改革派に対する批判という二大モチーフに貫かれることになる。そのために小泉政権が安倍政権へと移行した今、その経済政策におけるプロセスと帰結を本書とすり合わせて、本書の外で、本書の主張する経済政策とその蓋然性を検討する必要がある。
また前半の討議の圧倒的なオモシロさに比較すると、後半のブックレビューはレビュアーの質に左右されるため、かなり退屈に感じるかもしれない。
編集者の発想としては「ミシュラン」はいいアイディアだったのかもしれないが、そのネーミング自体が偏向した内容を隠蔽するレトリックとして機能していることにも注意すべき。どうせなら、ブックレビューをすっぱり切って、前半をリフレ派、後半を構造改革派の討議パートに分けて、星を付け合いながら互いに批判しあうような構成にしたほうが、より面白かっただろう。そこで発生した論戦が、他の様々なメディアに飛び火して、連鎖していった方がリフレ派に加担する編集者にとっても好都合だったのではないだろうか?試みとしては貴重なので、装いも新たに再開して欲しいと思う。 日本経済論議の論点整理 リフレ派による日本経済論議の論点整理。エコノミストや学者が固有名詞で語られているので、テレビや雑誌でよく見る議論の立場や主張が分かりやすくなると思います。著者たちの議論は一貫しており、マクロとミクロの政策の役割を明確にした上で、マクロの金融政策(インフレターゲット論)をもって総需要を大きくし、景気を回復させましょう、というもの。いろいろな切り口があるにせよ、論理的に明快な「経済学」というツールを持って自分の立場を明らかにし、それに照らし合わせて、他の立場や議論を位置付け、評価するとい作業は、混乱を抱える一般読者に爽快感を感じさせます。 中国デフレに代表される構造デフレ説や企業こそが需要を喚起する需要喚起説、ダメな企業の清算主義、不良債権問題など経済学の立場で観察すると「トンデモ」な議論になるのでしょうが、何のためらいもなく論理で整理されることに著者たちの学者としてのプライドが伺える好著。 エコノミスト達をマクロ経済学の観点から系統立てて整理する 日本経済の不況脱出に向けて提言を寄せている様々なエコノミストを遠慮無く批評する痛快な一冊。不況脱出のための提言が、構造改革派かリフレ派かで大まかに区別し、さらにそれぞれのエコノミストの主張の特徴にも少しづつ触れている。マクロ経済学というアカデミズムの論壇では、マスコミで著名なエコノミストが必ずしも主流派ではないことを教えてくれる。 本書の面白いところは、単にエコノミストの主義主張を知ることができるだけではない。登場するエコノミストのバックグラウンドを知ることで、これまでの経済学におけるおおまかな流れを把握できるように工夫されている点である。まず経済学で確立された理論を現実経済にどのような形で実践・応用してきたかを振り返り、経済学史をケーススタディー的に教えてくれる。その上で不況を脱しきれない日本経済とそれに対する経済政策について論じられており、非常に説得力のある議論が展開されている。 もちろん編者・評者はいずれもリフレ派の学者なので、構造改革に対してはかなり厳しい意見が続出している。そのため本書がリフレ政策推進のための一冊という意味合いを持つことは十分承知しておかなければならない。しかしながら現代のエコノミストを系統立てて整理し、経済学という観点から批評するという本書のスタイルは斬新であり、その工夫は大いに評価すべきであろう。経済学の初心者には是非お勧めしたい一冊である。 リフレ派の飲み屋での愚痴大会? 流行のエコノミスト評論系ですね。リフレ派によるリフレ万歳論みたいな。。まぁ、経済学って本来はこうやって、マニアな人達がマニアに語る秋葉系的なものなのかもしれません。構造改革派と呼ばれるような人々を嫌う人々は読んでいて「そうだそうだ!」とイケイケモードでしょう。毒舌大好きの私にとっては皮肉たっぷりの愚痴大会みたいで結構笑ってしまいました。今は、量的緩和→株価上昇で「そら見ろ」って感じなのが伝わってきます。 しかしながら、真面目に経済を考えている人には、リフレ派だ構造改革派だと派閥争いと揚げ足取りに終始することが腹立たしく思えるかもしれませんね。主流派であることを自慢げに話ながらもなかなかマスコミや政策立案者に理解してもらえていないという現実から逃避していては、経済政策のための経済学ではなくなってしまうのでは、と個人的には思いました。
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[ 単行本(ソフトカバー) ]
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データで斬る世界不況 エコノミストが挑む30問
・小峰隆夫 ・岡田恵子 ・桑原進 ・澤井景子 ・鈴木晋 ・村田啓子
【日経BP社】
発売日: 2009-04-23
参考価格: 1,890 円(税込)
販売価格: 1,890 円(税込)
Amazonポイント: 18 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,240円〜
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・小峰隆夫 ・岡田恵子 ・桑原進 ・澤井景子 ・鈴木晋 ・村田啓子
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カスタマー平均評価: 5
今の世界不況に関するいろいろななぞが解けた 問題設定が適切。問題に対する解説もすぐれている。統計データと経済理論を駆使していながら、分かりやすく書いてくれているところもいい。「この世界不況の中で日本が特に落ち込んだのは輸出頼みの経済体質だったから」といった”常識”の間違いを指摘してくれていて、目からうろこが落ちた点も多い。
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[ 文庫 ]
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経済政策を売り歩く人々―エコノミストのセンスとナンセンス (ちくま学芸文庫)
・ポール クルーグマン
【筑摩書房】
発売日: 2009-03-10
参考価格: 1,470 円(税込)
販売価格: 1,470 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,400円〜
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・ポール クルーグマン ・Paul Krugman
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カスタマー平均評価: 3
経済学
94年に書かれ、95年に出版された単行本の文庫化です。そもそもタイソン
のように保護主義だったクルーグマンが市場主義者になりまた保護主義になった
今、クルーグマンのあゆみを考えうるでも重要です。
経済学の凄さとここまで立場を変えても許される経済学にある意味驚かざるを
得ません。
訳者たちの文庫あとがきに書いてあるとおり、これからもますます
「反オバマ」としての期待も抱かせる一冊です。
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