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とりあえずこれは読もう．
内容的には少しできのよい学部生が読めるレベル．他のレビュアーの方も指摘されているとおり大学院でのマクロ経済学の基礎知識を身に付けるには非常によい本． 大学院で経済学を学ぶ人は本書を手にとるのは当たり前として，学部で経済学を学ぶ人向けに少し書かせてもらいたい． マクロ経済学の講義をとったけれども何が面白いのかさっぱりわからなかった，教授は偉そうに講義しているけれど結局失われた１０年の間あなたたちは何をしていたの，教授によっていうことがばらばらすぎて誰を信じればよいのだろうか，需要の大切さを説くけれどなんでアフリカは食料への莫大な需要があるはずなのに経済成長しないの．．． このような疑問を抱いた人には手に取ってもらいたい．少し苦労しながら読むことになるかも知れないし，誰かの助けを得なければ読みきれないところもあるだろうと思う．でも，これを読めばあなたの疑問を考えるための道具立てはかなり揃うはずだ．
マクロ経済学の「常識」を知るのに格好
ソローの成長モデルをまず提示し現実の経済と照合。説明できない現象を乗り越えるものとして次に内生的成長理論を説明するところから始まる。このように理論の説明、現実の経済現象との対比、次の理論という組み立てで進み経済学が現状分析の強力な道具であると認識させられる。さらに取り上げている項目は広く「消費」ではCAPM、エクイティーパズルにまで及ぶ。難しい数式の展開もローマーが「翻訳」をし直感的なわかりやすい説明がなされており米国の一流経済学者の学識に驚かされる。欠点としては話題が広く及ぶあまりそれらの間の理論的つながりが必ずしも明確ではないこと。
上級マクロのデファクト・スタンダード
　今や、BLANCHARD-FISCHERに替わるスタンダードなマクロ経済理論の上級書。恐らく、殆どの大学院修士課程で必読文献に指定されているはずである。
　著者のスタンスはニュー・ケインジアンに属するが、古典派的スタンスの記述においてもバランスを見せている点、信頼に値するだろう。

　また、随所に実証研究の成果を盛り込んでいる点も本書の価値を高めている。マクロ経済学は単独で閉じた学問領域ではあり得ない。本質的に政策指向的であるこの学問にとり、理論のテストが不断に必要なのである。そうした意味で本書はマクロ経済学に関心のある実務家にも「必読」の文献と言える。