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[ 単行本 ]
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アメリカの高校生が読んでいる金融の教科書
・山岡 道男 ・淺野 忠克
【アスペクト】
発売日: 2009-03-26
参考価格: 1,785 円(税込)
販売価格: 1,785 円(税込)
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中古価格: 1,245円〜
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・山岡 道男 ・淺野 忠克
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カスタマー平均評価: 0
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[ 単行本 ]
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顧客投資マネジメント 顧客価値の可視化によるファイナンスとマーケティングの融合 (ウォートン経営戦略シリーズ)
・スニル・グプタ ・ロナルド・R・レーマン
【英治出版】
発売日: 2005-10-14
参考価格: 1,995 円(税込)
販売価格: 1,995 円(税込)
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中古価格: 1,242円〜
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・スニル・グプタ ・ロナルド・R・レーマン
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カスタマー平均評価: 4.5
顧客価値をファイナンスの視点で見る簡潔で実務的な書 コンセプトは単純明快で、これまで必ずしも上手く定量化が行われてこなかったマーケティングの分野に、顧客生涯価値(CLV)という概念を入れてマーケティングとファイナンスの接点を求めたもの。5?6年程前に米国で通信会社に勤務していた頃、顧客セグメント毎に、顧客の月平均収益や平均在籍期間(月数)等から、セグメント毎に顧客獲得コストの上限を設定していた経験からも、本書の内容は実践的だと感じる。顧客毎(或いはセグメント毎)のP/L管理といった考え方とも整合性がとれる方法だと思う。また、目新しくは無いかも知れないが、プロフィット・ツリーの概念によって、マーケティングの打ち手と収益管理の橋渡しが可能であること等に関する説明も実践的だと思う。
日本語訳はまずまずだとは思うが、気づいた点を幾つか指摘しておくと、
・細かいところではあるが"financial analysts"を「金融アナリスト」と訳している。
・第3章75ページの図2の図はX軸とY軸の説明が逆になっており、明らかに間違い。
X軸を「企業にとっての価値」と記しているが本来は「顧客から見た企業の価値(value to customers)」となるべきであり、Y軸は「顧客にとっての価値」となっているが、正しくは「企業にとっての顧客の価値(value of customers to the firm)」とすべきである。
・上記の図2に関連する76ページの「流出懸念顧客」に関する説明部分の翻訳が稚拙。
・(この類の翻訳本には良くある手抜きだが)巻末の索引が付いていない。
内容は有益故に、英語に抵抗感の無い読者であれば「原書の英語では何と書いてあるのだろう?」と疑心暗鬼の気持ちで訳本を読むくらいなら、原書で読んだ方が手っ取り早いかも知れない。内容は星4つ。翻訳のレベル故に翻訳本としては星3つ。
ハイレベルだが易しい、効率経営の指南書。 マーケティングに携わる者として、効果を「目に見える」形で示すことの難しさは日々痛感している。この本は、顧客生涯価値(CLV)の算出に基づいて諸々の企業活動にかけるコストを決めようと主張したもので、発想としてはこれまでにも考えられてきたものだ。だが、それを実践できるかどうか、が実際のビジネスにおいては重要。その点で、この本は卓越している。とにかく、わかりやすいのである。 本書のフレームワーク自体が、実践を意識してシンプルに組まれているし、イメージの湧く具体的事例も豊富にある。横書きで適度に行間の空いたレイアウトも読みやすくて、このレベルの本としては意外なほどスラスラと読める。「投資」とタイトルについてはいるが、投資に限らず、マーケティングに関心のある人に特にお薦めです。 ハイレベルだが易しい、効率経営の指南書。 マーケティングに携わる者として、効果を「目に見える」形で示すことの難しさは日々痛感している。この本は、顧客生涯価値(CLV)の算出に基づいて諸々の企業活動にかけるコストを決めようと主張したもので、発想としてはこれまでにも考えられてきたものだ。 だが、それを実践できるかどうか、が実際のビジネスにおいては重要。その点で、この本は卓越している。とにかく、わかりやすいのである。 本書のフレームワーク自体が、実践を意識してシンプルに組まれているし、イメージの湧く具体的事例も豊富にある。横書きで適度に行間の空いたレイアウトも読みやすくて、このレベルの本としては意外なほどスラスラと読める。「投資」とタイトルについてはいるが、投資に限らず、マーケティングに関心のある人に特にお薦めです。
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[ 単行本 ]
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ファイナンス入門
・新井 啓
【慶應義塾大学出版会】
発売日: 2004-04
参考価格: 2,730 円(税込)
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中古価格: 1,230円〜
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・新井 啓
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カスタマー平均評価: 5
ファイナンスの教科書 よくできている入門書である。 初心者に対する教科書にうってつけである。 金利とは何たるか、からブラックショールズまで完璧とは言わないが 時間をかければそこそこ理解はできるだろう。 金融知識を身につけたい人に薦める最高&最新の教科書 ファイナンスの入門書。非常に良く出来ていると思う。文学部出身者でもこれ1冊でおそらくファイナンスの原理原則が理解できるだろう。超基本的な賃借対照表の仕組みの解説から、連結決算の見方、セブンイレブン・オリエンタルランド・トヨタ自動車他沢山のケーススタディーまでが盛り込まれたリッチな内容。債権・株・会計・会社法などはしょらず基本を押さえて書かれている。文章も非常に読みやすく、図も分かりやすい。そしてなによりも上梓されてからまだ間がなく、この手の教科書としては数字の新しさが目を惹く。
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[ 単行本 ]
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リスクキャピタルをマネージする―リスク管理のフロンティア (金融職人技シリーズ)
・牟田 誠一朗
【シグマベイスキャピタル】
発売日: 1999-02
参考価格: 3,675 円(税込)
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・牟田 誠一朗
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カスタマー平均評価: 0
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[ 単行本 ]
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総合リスク管理コース試験問題解説集―リスク管理検定 (2005年度版)
・検定センター
【金融財政事情研究会】
発売日: 2005-04
参考価格: 1,470 円(税込)
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中古価格: 1,216円〜
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・検定センター
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リスク管理検定 総合リスク管理コース演習問題集〈2003年度版〉
【金融財政事情研究会】
発売日: 2003-05
参考価格: 1,470 円(税込)
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中古価格: 1,216円〜
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カスタマー平均評価: 0
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[ 単行本 ]
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知的財産ファイナンス―特許・著作権等を活用した資金調達手法
・小林 卓泰
【清文社】
発売日: 2004-12
参考価格: 2,625 円(税込)
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中古価格: 1,212円〜
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・小林 卓泰
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市場リスク 暴落は必然か
・リチャード・ブックステーバー
【日経BP社】
発売日: 2008-05-22
参考価格: 2,520 円(税込)
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中古価格: 1,200円〜
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・リチャード・ブックステーバー
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カスタマー平均評価: 4.5
完全市場のもろさを暴露 原題は"A Demon of our own Design"「我々が創りし悪魔」で、自分たちがこの「不安定な金融マーケット」を創ってしまったことについての、懺悔の意味が込められているのでは。著者が働いてきた投資銀行、ヘッジファンドという少し前の最先端、サブプライムショック後の今では「衰退していく恐竜」にもたとえられる業界モノ。その変遷と彼らが巻き起こした金融イノベーション、そしてその弊害として頻発するようになった「暴落」リスクについて。マーケットの急激な変動が過度のレバレッジによって発生することは他著者も指摘している通り。著者は根本原因のレバレッジそのものの規制を主張している。
逆に空売り規制などのよくある「市場に対する規制」には一貫して反対の態度。というのも、規制を作れば対応するシステムがさらに複雑になり、思いもかけぬところで暴落リスクが顕在化する、というもの。
量子力学やカオス理論、ネットワーク理論、生物学などを援用し、
「全てのリスクを見通すことはできない」
「密結合したシステムは脆弱」
「過度の最適化は想定外リスクに対して無力」
という主張はおっしゃる通りで、説得力が高い。
マーケットが理想とした「情報が瞬時でいきわたる完全効率市場」は、システムとして非常にもろいということは大きな皮肉。金融システムはグローバル化することにより世界のマーケットを密結合に変えてしまい、NYでの出来事がロンドン、東京、そして新興国マーケットに多大な影響を及ぼすことになった。それを粗結合に戻すことは「情報の流通を遮る」ことになり、大きな困難が伴うだろう。
とすると、彼の主張する
「アクセラレータとしてのレバレッジを強く規制すること」
は非常に的を射ているのでは。
#それだけでは弱いかもしれないが、他に選択肢がない、という意味で。
訳は非常にこなれていてレベルが高い。金融用語もきっちり理解して訳していることがよくわかる。他の翻訳ものも、このくらいのレベルでがんばって欲しいなあと思う。 金融商品の複雑さが今回の金融危機の制御を難しくしている。 世界的バブルのもう一つの原因である「金融工学」。本書はサブプライムショック以前に書かれているが、金融工学と金融市場システムの問題について考えるヒントは多い。金融工学が金融商品を複雑にして、金融市場システムを不安定にしている構図がよくわかる。
今、議論されているように、たとえ金融市場を規制したとしても、複雑性を放置したままでは、かえって問題を悪化させるおそれがあるというから厄介だ。著者は、金融商品をシンプルなものにして、金融市場の複雑性を減らすよう提言する。危機を増幅するレバレッジも減らすべきだと言う。
リスクをヘッジする手段は、何もやらないこと? 著者は、ウォール街の投資銀行で、リスクヘッジに関する仕事に関わっていた、その実体験を赤裸々に述べている。
エピソードが実名入りで書かれており、ノンフィクションとしても読み応えがある。しかし、金融の知識が無いと、読み込むのは難しいと思う。
個人的には、リスクヘッジを行うことが、更にリスクを生むといった、リスクヘッジの合成誤謬が興味深かった。この考え方は、金融以外でも、プロジェクトを進める際の考え方として、参考になるのではないかと思った。 必然なんて書いてない ザクッと言えば、現在の金融システムが如何に危ないかとここ数年の投資銀行内部で行われていた事柄の紹介と言った所です。実名がかなり出ています。黒木亮の巨大投資銀行の内容ともだぶっているところがあります。
株式や債権の投資を行っている人や金融関係の人にとっては、とても参考になるし、読み物としてもまずまずです。
中程で冗長な部分があり、総頁も結構あるので、一気に読み切れないのでマイナス一つです。
結論としては流動性維持、リスクヘッジがリスクを大きくする合成の誤謬、あたりなのではないかと解釈したのですが。。。 巨大な災厄をもたらした金融イノベーション 邦訳題名が的外れだというのではないが、原題の”A Demon of our own Design” は「俺たちが魂を入れた魔神」、つまり人間ファウストが契約を結んだ悪魔を思わせる。これが投資世界にかかわるものであることを知らせるために副題は「マーケット、ヘッジファンド、そして金融イノべーションの災厄」となっている。「魔神」とはこの「災厄」の元凶であり、著者によればその災厄は現状ではほとんど避けがたい。それが今や現実のものになってしまったことはわれわれが身をもって知るところである。
それではこの魔神の正体は何か。それは一言でいえば「市場の複雑性」(高度にレバレッジを組み込んだ多種多様な金融商品の市場)とその市場内部あるいは相互間の「密結合」状態(本来はプロセスの構成要素が緊密に連携している状態を指すエンジニアリング用語)である。これだけではまだ抽象的にすぎるかも知れないが、ここから現実に起きている事態、つまり各種のデリバティブズの流通とそれが招来するシステミック・リスクに思いを及ばせることは可能だろう。著者は「金融商品を単純化し、レバレッジを減らすことが、金融市場の制度設計を修正する処方箋である」という。(それは正しい結論だと思われるが、07年に出版された本書が現下の危機が不可避だったと主張しているわけではない。)
本書は幾つもの投資銀行でリスク・マネジメントの実務に従い、半ばは学者でもある著者の実践と研鑽にもとづいた力作である。ここに紹介した結論に到達する以前に描かれた80年代以降の投資銀行各行の浮き沈みはこの世界に渦巻く欲望の強烈さと幾多の大銀行がそれに立ち向かい、危うく立ち直った、リスクの巨大さを改めて思わせる。賢人賢者と讃えられる投資世界の大御所たちがITバブルでは一敗地にまみれていることも興味をそそる。著者はヘッジファンドとは定義不能と考えているようである。たとえそうでないとしてもその定義には明らかに手を焼いている。そうとすればリスクを対象とする本書を細部まで理解できなくても恥とするには当たらない。
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わかりやすい経営分析―企業診断のチェック・ポイント (1978年) (ケース・スタディブックス〈20〉)
・三義 智章
【金融財政事情研究会】
発売日: 1978-01
参考価格: 1 円(税込)
販売価格: 品切れ中
中古価格: 1,200円〜
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・三義 智章
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カスタマー平均評価: 0
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[ 単行本 ]
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金融危機の本質は何か―ファイナンス理論からのアプローチ
・野口 悠紀雄
【東洋経済新報社】
発売日: 2009-01
参考価格: 1,890 円(税込)
販売価格: 1,890 円(税込)
Amazonポイント: 18 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,200円〜
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・野口 悠紀雄
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カスタマー平均評価: 3.5
金融工学は核エネルギーと同様、取扱は慎重にしなくては 学問として進歩してきたのでブラックショールズみたいな難しい代数を使わずとも、図表を駆使して直観的に理解しうるまでに説明できるようになったとのこと。確かに初心者にはとても入りやすい本でした。いったい、従来の難しい代数を使ってその本質を理解してきた人たちは、この日本にどれくらいいたのでしょうか?この本を読んで改めて認識したのは、難しい言葉を使って難しいままに説明する人(してきた人)は、やはり、ことの本質がわかっていないのだろうということ。その手の輩に限って、ご自身のおつむの良さ(「自分は馬鹿な君たちとは違うんだよ」)をひけらかそうとするんでしょう。そんな態度の人たちをたくさんみてきました。
そこから進んで思ったのは、こうした難しい理論を現実の社会にあてはめようとすることの難しさです。確かに正しいのかもしれないけれども、それが社会にとって善なのかどうかはよくよく考えなければならない。理論の運用を間違ったり、理論が広く理解されないようなことは、それができるまでの間は、やはり規制をかけるべきであり、できそうもないのであれば、より安全安心な方策をとるのが社会にとって望ましいと。
著者は金融工学の正しさを力説されてます。確かにその通りだと思いますが、社会とのかかわりやあり方といった観点が全くなく、「これは正しいし、経済の進歩にものすごく役立つのだから、運用が間違ったって僕は悪くない。理解できないみんなや社会が悪いのだ」といったように聞こえます。比喩的にいえば、まるで原子力について「これは科学の進歩であり、エネルギーにとってものすごく役立つのだから、核開発されてスィッチが押されようと僕は悪くない。悪用するみんなや社会が悪いのだ」といってるようです。歴史的に原子力を開発してきた科学者がその存在の是非を深く自問自答してきた自省的な態度とは、かなり程遠いと言わざるを得ません。
大学で教養課程がないがしろにされて久しいですが、ある分野での理論を一生懸命学んで、その努力と理解できた自身の能力を鼻にかけて、他の学問分野や広い歴史的観点からの熟慮を失った学生がやがて世の中でオピニオンリーダーになることの恐ろしさを感じます。
しかし、もっと悲惨なのは、肝心な理論の理解すら果たしてできているのか。
この本の中で「数学もわからないのに金融工学を学びたいといって大学院に入ってくるひとが多数いる。嘆かわしい。」とありますが、著者はそのような学生に単位を与えて卒業させたのでしょうか。そうでないことを信じますが、もし、そうだとしたら大罪でしょう。
そのあたりを考えれば、「金融危機の本質は何か」というタイトルは、ズレています。
おそらく編集者あたりにいわれたのでしょう。「タイムリーな題名にしましょう。少々ずれてても誰も気にしませんヨ そのほうが売れますから」
どっかの金融商品みたいです。「他の商品といっしょにして格付けしちゃいましょう。少々混じっていても誰もわかりませんヨ そのほうが売れますから」
著書の内容自体はとてもわかりやすくなっています。 金融理論を正しく使えば金融危機は防げた。金融理論悪魔説を排する骨太理論書 本書での一貫した立場として、金融危機の本質的原因は、金融工学、ファイナンス理論の知識を正しく使わなかったからであり、金融工学、ファイナンス理論を悪魔の学問、虚像だとする考え方をあまりに皮相的な見方として批判している。本書を読むと金融工学、ファイナンス理論は金儲けをするための学問ではなく、大損を回避する為の学問であることが、寧ろ基本的だということが分かってくる。このような本来の前提条件を無視し、金儲けや、投資の煽り、素人を騙すことに悪用した結果が今日的な状況を生んでしまったのだ。
よって本書は、金融工学、ファイナンス理論の正しい知識とその使い方についてを理論の基本的説明を行い、今後日本はどのようにして金融工学、ファイナンス理論の知見を企業の経営判断、財政経済政策、個人の資産運用など活用していくかについて述べている。本書の難易度水準としては、大学の経済学部の大方のレベルを若干超えていると思われる。そのため、経済学部で比較的一生懸命勉強した人、数学に拒否反応のない人などにお奨めできると思う。また根気があれば読み通すことはできよう。
本書の良い点を挙げるとせれば、
1)証券投資論の理論的解説書としても通用する
2)最初と最後は一般の経済書として読み物としても通用する
3)参考図書一覧が充実しているところだと思う。
本書は中長期的に遂行可能な経済政策、経営判断、資産運用の意思決定にかかわる様々なリスク管理手法を、金融工学的なアプローチを通して描いたものだ。その意味では単なる金融論の説明にとどまらず、より実践の場で本書の知識が知恵となって現れることが、野口教授の一番の願いではないのか。 表題以外は優れたファイナンス理論の入門書 この書にもし「ファイナンス理論入門」という表題が付いていたら5つ星の名著だと思う。東大工学部応用物理学科卒・Yale大学経済学博士(PhD)で両分野に造詣の深い筆者は、数学的正確さを以て本来複雑なファイナンス理論を(数学を要求せずに)判り易く解説している。数学が得意な読者には、もっと方程式を多用して貰った方が直裁だと思うほどだ。元々「週刊東洋経済」に2007年-08年に「説話ファイナンス理論」として連載した内容がもとになっているそうだ。金融商品の価格や、各種オプションなどリスク低減策の背景にある理論を平易に具体的に解説している。
それに商業主義的発想で「金融危機の本質は何か」という表題を付けたに違いない。この「何か」に直接答えている部分は第1章の9頁だけである。書店で立ち読みをしてから買うのなら問題ないが、Amazonで購入する場合には期待との乖離が起こる可能性が高いので、敢えて3つ星とした。
ファイナンス理論入門の他に筆者が本書で強調するのは、
1.ファイナンス理論で最適化以上の金儲けは出来ない。金儲けの学問のように言うのは、単なる誤解か、悪意の曲学阿世である。
2.ファイナンス理論は、経済学と数学から成るために両方を踏まえて充分な理解を持つ人が少なく、従って誤解され易い。
という点だと感じた。心しよう。 著者は、昨今、批判を浴びる金融工学の有効性を再確認すると共に、個人投資家を守る立場から「貯蓄から投資へ」という政府の掛け声に大いに疑問を呈している 現在の金融危機をもたらしたのは、金融工学に問題があったからだという批判が昨今、よく聞かされる。しかし、著者は、金融危機の犯人は金融工学ではないと強く主張する。今回の問題は、金融工学の使い方を誤ったことから引き起こされたのであり、効率的に資産を運用するには金融工学は有用であるということを、あくまで、強調している。また、先物取引やファイナンス理論に基づく分散投資がなぜ、必要なのか。投資家にとってどういう意味があるのかを
改めて基本的なところからから、金融知識があまりなくても、わかりやすく説明している。
また、著者が「貯蓄から投資へ」という掛け声によって、個人投資家に、むやみに、リスクを取る投資を促進する政府等の姿勢を強く批判しているところは、本書でも重要な部分であろう。著者は、政府が掛け声をかける相手は個人投資家ではなく、金融機関であると言う。そして、個人投資家に適切な金融商品を提供していない、現在の日本の金融機関の責任は大きいと主張する。私も、メガバンク勤務経験者として自らの体験から、著者のこの主張には大いに同感できるところである。本書は、金融に関して、それほど、詳しくはないが、先物取引、分散投資、金融工学などが自分にとってどのようなものなのか知りたい個人投資家にはお薦めしたい1冊である。
なお、野口先生は、学者ですので、政府の「貯蓄から投資」へという考え方は同じでも、より、実践的な知識を得たい方には、小宮一慶著「お金を知る技術 殖やす技術 ”貯蓄から投資”にだまされるな」を一読されることをお薦めします。
本質だけわかる 『週刊東洋経済』で07年7月から1年間連載された「説話ファイナンス理論」を単行本化したものです。本のタイトルより、こちらのタイトルの方がすわりがいいように感じる、ファイナンスの基本となる部分を説明した本です。
もちろん、2007年夏からの金融危機についても触れられていますし、ファイナンス理論から見た「本質」を理解することはできます。しかし、極論すれば、本質しかわかりません。著者曰く、金融危機の本質は金融工学の誤用にあるとのことだそうで、たしかに、正しいファイナンスの利用とは思えない事態になっていたことはよくわかります。「金融危機? あれは金融の誤用だよ」で事が足りる人には何の問題もないのですが、今回の金融危機という現象を考える材料を求めてこの本を手に取ったとすれば、あまり得るものはありません。『金融危機の本質は何か』というタイトルは言い得て妙なのですが、一般の人にとっては若干ミスリードかと思います。
ファイナンスの本としては、元の媒体と著者から想像できるように、とっつきやすく、わかりやすく書かれています。連載にあまり手を加えなかったのか、基本的なことが繰り返し説明されているので、細切れで読んだり流し読みしても得られるものがあります。じっくりと学びたい人にとっては、ボリューム、値段の割に情報量が乏しいでしょう。ファイナンスについても本質だけといった感じです。
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